2009年11月15日

”新京”の影を繋ぐ~長春264路


 
 吉林省の省都である长春(chang chun)。かつてこの街は旧日本の傀儡国家で
ある「満州國」の首都”新京”とされた時代があった。”首都”とされた当時、市の
南西部は大規模な開発が行われ、続々と巨大な行政施設が建てられた。その
痕跡は現在もなお残り、新民大街沿いには1930~40年代当時の建築物が林立
している。主に大学の校舎や病院として使用され、保存すべき建築物に指定され
た今も、その圧倒的な存在感を示している。「満州國」の存在について、否応なし
に考えさせられる場所であった。

 この264路は偽皇宮と長影世紀村を結ぶ路線だ。偽皇宮とは偽満皇宮博物院
として公開されている、かつての満州皇帝の宮廷である。現在中国では「満州國」
のことを「偽満」と表現しており、このような名称が付けられている。偽皇宮は市
中心部北東の陝西路奥に位置し、一般の路線バスは、この264路のみが運行
されている。

 一方の終点である長影世紀村もかつての「満映」があった場所で、戦後に接収
されてからも長春電影製片廠として数々の映画を世に送り出してきた。このように
264路は「満州國」に縁の深い両地点を結んでいる。

 そのうえ起終点のみならず、途中の経路上でもかつての”新京”にゆかりのある
場所を繋いでいる。上述の新民大街では、車窓の両側に巨大建築群を眺めるこ
とが出来る。もちろん途中下車して、じっくりこれらの建物と向き合ってみるのも
良いだろう。偽皇宮見学の前後に乗車してみたいバス路線だ。



新民大街の北端に鎮座する吉大一院の前を走る264路
かつては”軍事部”が置かれていた建物。




新民大街の大きなロータリーを快走する264路

●乗車データ(2009.10)
運賃:1元均一、無人售票(ワンマンバス)
運行時間:
運行間隔:約5~10分毎。

長春市内、新民大街の航空写真
文化広場から新民広場にかけて、南北に一直線の道路がくっきり浮かんで見える。


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